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「ただ噛めばいいんでしょう」。そんな気持ちではなかなか良い咀嚼法は身に付きません。一度身に付いた食事法は癖のようなもので、なかなか治りません。そこで視覚的に訴える記録用紙を作ってみることを、私は肥満の患者さんに提案しています。日付、朝昼晩を記入し、毎食1口20回噛むと決め、きちんと実行できたら○をつけていきます。出来なかった時は×をつけます。これを毎食事ごとにつけていきながら、○の比率が増えるように努力していきます。
記録をつけるというのも、なんだか馬鹿らしく感じるかもしれませんが、この動作はきちんと噛むための一つの手なのです。なぜなら、面倒臭いですが、○をつけたり×をつけたりするには、いったん“箸を置かなくてはいけません”から。それだけでも、確実に早食いは防せげます。うまく出来るようになると、一食の食事時間が伸び、食事摂取量も確実に減っていると思います。 |
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| 稲田胃腸科外科 院長 稲田享介先生 |
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やや専門的な話になりますが、食べ物を噛んだ時の噛みごたえは、歯の根にある膜や噛むための筋肉(咬筋)の中にある感覚の受容器から三叉(さんさ)神経という神経を伝わって、脳に咀嚼の信号が伝えられます。そこからまた咀嚼運動に対する指令が神経を伝わって出される反射があります。この反射に関与する物質に「神経ヒスタミン」があり、この神経ヒスタミンが、脳の満腹中枢を刺激し、満腹感を起こさせるのです。早食いがよくない理由の一つは、咀嚼つまり噛むことがおろそかになるため、神経ヒスタミンの出る量が少なく、十分に満腹感が得られないままに過食するからだと思われます。



“噛む”ということは実際に、肥満治療の一つの方法として取り入れられています。「よく噛んで食べる」、これだけのダイエットです。あまり苦労せずにやせる一つの手助けとして、おすすめします。肥満の患者さんは大抵早食いです。実際のアンケート調査でも、「早食いである」「よく噛めない」「よく噛まない」の3つは肥満症の患者さんに多いというデータが出ています。
良く噛むことの目的は、満腹感覚を回復させることにあります。この方法は、たくさん食べたから満腹になったという、カロリーに依存する満腹ではありません。また、これが出来ると、丁寧に食べるようになり、食事のマナーも非常に良くなります。食べる物の本当のおいしさも実感出来るようになります。たくさん食べなくても、満腹感を得られるようになった時、またあなたのダイエットは1つ成功に近づいたと言えると思います。頑張って、是非おためし下さい。
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